TCHがあると頬の筋肉(咬筋(こうきん))や頭の横の筋肉(側頭筋(そくとうきん))が緊張し続けるために,筋疲労が蓄積してこりや頭痛として意識するようになります。
顎関節症をお持ちの患者さんに最も多くみられるのがこり症状です.こりの最大の原因が姿勢の悪さとされています.それ以外にも原因は色々あります.その多くの原因の一つとして顎関節症,特にTCHがあります.TCHをお持ちだと顎関節症がなくともこりに苦しむ方が多数おいでです.TCHによって頬の筋緊張が起こると,その緊張が首回りの筋肉や頭を支える僧帽筋(そうぼうきん)を緊張させる事で,首こりや肩こりを強めます
顎関節症をお持ちの患者さんで2番目に多い他の症状が頭痛です.頭痛には大きく分けて偏頭痛と緊張型頭痛が2大頭痛としてあります.偏頭痛は脳内の血管の炎症ですので,顎関節症が関連する可能性は少ないのですが,緊張型頭痛はむかし「筋緊張型頭痛」と言われていました.それは頭痛の出る場所が頭の横の側頭部だったからです.
この部分には側頭筋という大きな筋肉があります.この筋肉はものを咬む時に強い力を発揮する,そしゃく活動を上手くおこなうための重要な筋肉です.この筋肉が疲れてくると口を開こうとしてこの筋肉を引き延ばすと痛みます.この「引き延ばすと痛む」という筋肉症状が顎関節症の診断基準の一つにもなっています.引き延ばすと痛むとまでは行かないものの,この側頭筋が疲労してきて「しめつけられるような痛み」を感じるのが緊張型頭痛なのです.ですから顎関節症の結果として頭痛を感じることがあります.また顎関節症がなくとも,これもTCHがあると頭痛が出やすくなります.