顎関節症の原因は何か

【TCHとは?】大多数の顎関節症の原因 “TCH”

かみ合わせの悪さが原因ではないとするなら,何が原因なのでしょうか.それがTCHと名づけた癖です.上下歯列を必要ないときに接触させているという癖です.

本来なら会話,咀嚼,嚥下の時に上下の歯が瞬間的に接触しますが,その接触合計時間は20分/24時間未満とされています.ところが長時間にわたって歯の接触を続ける人がいます.これが多くの顎関節症患者さんの原因であるということを,2000年12月から一年間掛けて実施した来院患者511名の調査の分析結果から割り出しました.その結果を受けて癖の是正トレーニングを行わせたところ,これまでなかなか改善しなかった患者さんでもよくなることがわかったのです.そこで上下歯列接触癖をTooth Contacting Habitと英訳し略してTCHと呼ぶことにしました.現在では痛みを示す顎関節症患者の8割以上がTCHが原因であろうと考えています.

どうして歯を接触させ続けると顎関節症になるのでしょうか.それは歯の接触であごを閉じる筋肉が働き続けることになり,その結果筋肉疲労から筋性顎関節症が起こります.またこの閉口筋が働き続けると顎関節を押さえ続けますから,次に関節を動かすときに摩擦が大きく関節内部を傷つける可能性が高まるのです.こうして関節性顎関節症が起きるのです.